なぜタチジェネは売れるのか

こないだ出た『DSお料理ナビ』も売れるのか?ってそりゃ売れるに決まっている。

もう結論から言うと "Touch!Generations" はプレイヤーのライフスタイルを変えるから売れるんである。CM戦略とかはあんまり関係ない。

脳トレにしても毎日少しづつやるというスタイルをプレイヤーに強要するような作りになっているわけで、プレイヤーは毎日脳年齢を測定するというライフスタイルができてしまえばもうそのゲームを延々とやり続けるようにならざるをえない。そうすると発売日から日にちが経ってしまっても延々と話題に登り続けるから口コミで売れるわけですよ。

タチジェネ以前のゲームは発売日が旬であって、それ以降はいくら口コミで面白いと言われていても対してロングランにはならなかった。それは何故かというと「クリアするゲーム」が大半だからだと思う。いくら面白いゲームでもクリアしてしまえばそうそう話題になることはなくなってしまうし、話が盛り上がるのも発売日から精々1〜2ヶ月ぐらいなもんである。

そこにきて任天堂脳トレやなんかのかなり生活密着型の卑近なテーマの「クリアをしない」ゲームをだしてくるわけである。

『お料理ナビ』はターゲットとしては、料理をまだやったことがない一人暮らしの若者とか、料理が苦手な主婦とか、結構初心者向けだ。つまりそういうプレイヤーはこのソフトを買う事で毎日の晩御飯に激的な変化を得る事ができるわけだ。当然そんなことになれば頻繁にこのソフトの話をするようになり、それを聴いた人が自分も買ってみようかという気分になるわけである。当然知り合い同士で持っていたら、昨日はあれを作っただの、あのメニューが美味しかっただの、延々と盛り上がるわけである。

当然あらかた全部のメニューを作っちゃって話題にならなくなる頃には、続編が出るはずである。中級者編とかって、もうちょっと込んだメニューものせていけるしね。これは200種類あるらしいから、半年ぐらいはもつ計算になるかな。

重要なのは、こういったカジュアル層は想像以上に大規模に存在していたという事実である。たぶん、この層に向けてダイレクトに作りこめた商品ならハーフミリオンは突破して当然ぐらいの市場規模なんだとは思う。

脳トレのCMを延々とやっているのは、売上に直に繋げるというよりは、話題に上りやすくさせるための戦略なんだと思った。何人かでTVみてて脳トレのCMやってて、誰か脳トレもってたら絶対話題になるでしょ。うまくいけばその場でDS持ち出してみんなの脳年齢はかってやったりできるわけで、ここまでやって初めて口コミとしての効果が期待できるんだと思う。まぁCM自体はまだ風化してしまったゲームじゃないんだよ、と思わせる効果もあるだろうけど、それはメインじゃない。ていうかそんなんで売れたらだれも苦労しねーよ。

そうやって人と人とのコミュニケーションに重点を置いた作りにもっていくゲーム作りが花開いたわけですよ。

任天堂は昔からゲームの究極の面白さは実際の人間とコミュニケーションであると気づいていて、対戦ゲームやパーティーゲームに力を入れていたのもそういう思想から来ているわけですよ。それが今まではあまり美味い形では開花していなかったというだけで、DSが出てやっとタッチジェネレーションという境地にたどり着いたんだと思う。

そこまでの過程が全部計算づくだとは決して思わないけど、根底にそういう思想があったからこそこういうゲームがでてきて当然のように売れる時代になったんだろうな。

TVゲームの外で起こる出来事も全部含めてそれがゲームなんだと、昔から言っていたのは任天堂だけではないかね。